資金繰り表の作り方|初心者向けに月次の入金・支払・借入返済を具体例で解説
資金繰り表は、実際の入金月と支払月を並べ、将来の月末預金残高を予測する表です。
売上計上月ではなく回収月、費用発生月ではなく支払月を入力し、借入元金返済、税金、設備投資も漏れなく反映します。
この記事では、初心者でも作れる基本構成、8ステップ、計算例、よくあるミスを解説します。
開始残高、売上入金、仕入・経費、設備・税金、借入・返済を月次で入力し、月末残高と不足月を確認します。
資金繰り表とは将来の預金残高を予測する表
資金繰り表は、一定期間の現金・預金の収入と支出を区分して集計し、月末残高と不足時期を確認する表です。決算書が過去の経営成績・財政状態を示すのに対し、資金繰り表は将来の支払能力を管理するために使います。
| 資料 | 主な目的 | 対象 |
|---|---|---|
| 損益計算書 | 売上・費用・利益を確認 | 発生ベースの経営成績 |
| 貸借対照表 | 資産・負債・純資産を確認 | 一定時点の財政状態 |
| キャッシュフロー計算書 | 営業・投資・財務による資金増減を確認 | 過去期間の資金移動 |
| 資金繰り表 | 将来の入出金と月末残高を予測 | 日次・週次・月次の資金管理 |
最初に準備する資料
過去実績
- 預金通帳・入出金明細
- 月次試算表
- 売掛・買掛一覧
- 給与・家賃等の固定支出
将来予定
- 受注・請求・入金予定
- 仕入・外注支払予定
- 設備投資・賞与
- 税金・社会保険料予定
財務資料
- 借入一覧・返済予定表
- 新規融資予定
- 補助金等の入金予定
- 代表者・関連会社との資金移動
資金繰り表の基本構成
| 区分 | 主な項目 | 入力時の注意 |
|---|---|---|
| 前月繰越 | 前月末の現金・預金残高 | 実際に使用可能な残高を入力 |
| 経常収入 | 現金売上、売掛金回収、その他営業収入 | 売上月ではなく入金月 |
| 経常支出 | 仕入、外注、人件費、家賃、経費、税金 | 費用計上月ではなく支払月 |
| 経常外収支 | 設備支出、資産売却、臨時支出入 | 通常営業と分ける |
| 財務収支 | 借入、元金返済、出資等 | 元金と利息を区分 |
| 翌月繰越 | 収入-支出後の月末残高 | 翌月の前月繰越と一致 |
資金繰り表を作る8ステップ
対象期間を決める
まず今後6か月、納税・賞与・設備投資を含めるなら12か月作成します。
開始残高を確定する
全口座と現金から、使用制限のある資金を除いて入力します。
売上入金を入力する
現金売上、売掛金回収を取引条件に合わせて入金月へ記載します。
仕入・外注支払を入力する
買掛・未払金を支払日ごとに記載します。
固定費・税金を入力する
給与、家賃、社会保険、税金等を支払月へ入力します。
設備投資・臨時支出を入力する
契約・納品・支払条件を反映します。
借入・返済を入力する
融資実行、元金返済、利息を区分します。
月末残高を確認する
不足月、最低残高、追加対策を確認します。
売上は入金月、費用は支払月に入力する
| 取引 | 損益上の月 | 資金繰り表へ入れる月 |
|---|---|---|
| 7月に商品を納品、8月末入金 | 7月売上 | 8月収入 |
| 7月仕入、8月末支払 | 7月原価 | 8月支出 |
| 設備を7月契約、9月支払 | 減価償却等で処理 | 9月設備支出 |
| 借入元金を毎月返済 | 元金は費用でない | 返済月の財務支出 |
資金繰り表の目的は、実際に預金が増減する月を確認することです。
月次資金繰り表の簡単な計算例
| 項目 | 7月 | 8月 | 9月 |
|---|---|---|---|
| 前月繰越残高 | 300万円 | 260万円 | 190万円 |
| 売上等入金 | 250万円 | 300万円 | 350万円 |
| 仕入・経費支払 | 220万円 | 250万円 | 270万円 |
| 税金・設備支出 | 20万円 | 90万円 | 30万円 |
| 借入返済 | 50万円 | 30万円 | 30万円 |
| 翌月繰越残高 | 260万円 | 190万円 | 210万円 |
8月は売上入金が増えていても、税金・設備支出により月末残高が低下しています。このように売上額だけでなく支出の集中を確認します。
実績と予定を分けて更新する
資金繰り表は一度作って終わりではありません。月が終わったら予定を実績へ置き換え、差の原因を確認します。
| 差が出た項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 売上入金 | 売上未達、回収遅延、入金月の変更 |
| 仕入・外注 | 追加発注、価格上昇、支払時期変更 |
| 人件費・固定費 | 採用、残業、契約追加 |
| 設備・臨時支出 | 追加工事、納品遅れ、予備費 |
| 借入・返済 | 実行時期、返済条件、追加借入 |
過去実績を残しながら将来予定を更新すると、予測精度と金融機関への説明力が上がります。
資金繰り表でよくあるミス
- 売上計上月をそのまま入金月にする
- 借入元金返済を入れ忘れる
- 税金・社会保険料・賞与を入れない
- 設備代金・保証金等の臨時支出を漏らす
- 補助金を早い時期に確実な入金として入れる
- 複数口座の資金移動を収入・支出として二重計上
- 予定と実績を更新しない
- 月末残高がマイナスでも放置する
日次・週次・月次の使い分け
| 形式 | 向いている状況 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 日次資金繰り | 支払が迫り、残高余裕が少ない | 当日・翌日の支払管理 |
| 週次・13週資金繰り | 資金繰りが不安定、改善・再生局面 | 給与・仕入・税金の短期管理 |
| 月次資金繰り | 通常の経営管理、融資相談 | 3~12か月先の不足予測 |
完成後のチェックリスト
資金繰り表の検品項目
- 前月末と翌月の繰越残高が一致
- 入金・支払を実際の予定月へ入力
- 全口座・現金を反映
- 借入元金・利息を反映
- 税金・社会保険料・賞与を反映
- 設備投資・臨時支出を反映
- 補助金等の入金時期を慎重に設定
- 最低残高と不足月を把握
- 実績へ毎月更新
奈良県で資金繰り・融資を検討している方へ
行政書士だいとう事務所では、金融機関での融資業務経験を踏まえ、入金予定、支払予定、借入返済、税金、設備投資を月次で整理し、資金繰り表・事業計画書・金融機関への説明資料を作成します。
早く数字を整理するほど、融資、支払・回収条件の調整、投資延期、返済条件の相談などを比較しやすくなります。
よくある質問
資金繰り表はExcelで作ればよいですか?
Excel・スプレッドシート等で問題ありません。重要なのは入出金予定と月末残高を正確に更新できることです。
資金繰り表は何か月分作りますか?
通常は3~6か月先から始め、納税・賞与・設備投資を含めるため12か月作ると判断しやすくなります。
借入金は収入に入れますか?
入れます。借入実行は財務収入、元金返済は財務支出、利息は経常支出等として区分します。
補助金はいつ入金として計上しますか?
交付・実績報告・入金時期を確認し、確定していない段階では保守的に設定します。
資金繰り表とキャッシュフロー計算書は同じですか?
異なります。資金繰り表は主に将来の支払管理、キャッシュフロー計算書は過去の営業・投資・財務活動の資金増減を示します。
関連する融資記事
参考となる公的情報
- 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(資金繰り表)」
- J-Net21「資金繰り表って何ですか?また、どのようにして作成するのですか?」
- J-Net21「資金繰り表を活用する」
- 日本政策金融公庫「中小企業向け各種書式ダウンロード」
資金繰りや融資の判断は、事業内容、取引条件、既存借入、金融機関・制度によって異なります。実際の相談時には最新の公式情報をご確認ください。
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