補助金は課税される?法人・個人事業主の仕訳、消費税、圧縮記帳

まず知っておきたいこと

補助金は返済不要でも、法人税・所得税の計算に影響する場合があります。

一方、補助金の受取り自体は、一般に商品やサービスの対価ではないため、消費税の課税対象とは異なる取扱いになります。ただし、補助金を使って設備・サービスを購入した際の消費税、仕入控除税額、圧縮記帳、個人事業主の総収入金額不算入などは別に確認が必要です。

税務判断は税理士・税務署へ確認してください

補助金の種類、交付目的、法人・個人の別、会計処理、固定資産の取得時期、補助金の確定時期などにより処理が異なります。この記事では一般的な確認事項を整理し、個別の税額計算・申告判断は行いません。

INCOME TAX 法人税・所得税に影響

補助金収入は、法人の益金や個人事業の収入として課税関係を確認します。

CONSUMPTION TAX 受取自体は対価ではない

補助金の受取りと、設備等の購入時に支払う消費税を分けて考えます。

SPECIAL TREATMENT 特例は適用要件を確認

圧縮記帳・総収入金額不算入は、すべての補助金へ自動適用されません。

補助金は課税される?

事業者が受け取る補助金は、返済不要であっても、法人税・所得税の計算上、収益・収入として取り扱われることがあります。

ただし、「補助金額にそのまま税率を掛けた金額が必ず課税される」という意味ではありません。補助金に対応する設備購入費、減価償却費、広告費、外注費などの費用との関係や、適用できる税務上の取扱いを含めて課税所得を計算します。

補助金の税金は一つの言葉で判断しない

法人税・所得税、消費税、固定資産取得時の圧縮記帳等は、それぞれ別の論点です。「補助金は課税」「補助金は不課税」という一文だけで処理を決めないようにします。

補助金に関係する税務を3つに分けて確認する

法人・個人

法人税・所得税

補助金を収益・収入として扱うか、特例を適用できるかを確認します。

受取・支出

消費税

補助金の受取り自体と、設備・サービス購入時の消費税を分けます。

固定資産

圧縮記帳等

国庫補助金等で固定資産を取得した場合の特例適用を確認します。

確認項目 主な判断内容 相談先
補助金の収益・収入計上 計上時期、勘定科目、法人・個人の課税関係 税理士・税務署
設備購入時の会計処理 固定資産、修繕費、消耗品費、減価償却など 税理士
圧縮記帳・不算入特例 対象となる補助金・資産・要件・申告書類 税理士・税務署
消費税 補助金収入、課税仕入れ、仕入控除、返還報告 税理士・税務署
補助金申請・実績報告 対象経費、税抜・税込申請、証拠書類、交付要綱 補助金事務局・行政書士

法人が補助金を受け取った場合

法人が事業に関する補助金を受け取った場合、法人税の計算上、益金として扱うことを基本に、交付目的や固定資産取得の有無を確認します。

法人で確認する主な項目
  • 補助金収入を計上する事業年度
  • 交付決定・額の確定・入金のどの時点で権利が確定するか
  • 購入した設備を固定資産へ計上するか
  • 減価償却開始時期と耐用年数
  • 圧縮記帳の対象となる国庫補助金等か
  • 圧縮損・積立金方式等の処理と申告調整
  • 税額控除・特別償却との関係
  • 地方税・住民税・事業税への影響
「補助金を設備に使ったから同じ年度の経費になる」とは限りません

機械・システム・内装等が固定資産に該当する場合、通常は取得時に全額を費用処理するのではなく、減価償却等を通じて費用化します。補助金収入と費用計上の時期が一致しない場合があります。

個人事業主が補助金を受け取った場合

個人事業主が事業に関して受け取る補助金は、所得税の計算に影響する可能性があります。

一方、固定資産の取得・改良に充てるため国や地方公共団体から交付される補助金については、一定の要件のもとで総収入金額に算入しない取扱いを検討する場合があります。

個人事業主で確認する主な項目
  • 事業所得・雑所得など、どの所得に関係する補助金か
  • 補助金収入を計上する年
  • 固定資産・必要経費の処理
  • 国庫補助金等の総収入金額不算入の要件
  • 明細書等の添付・申告手続き
  • 青色申告決算書・収支内訳書への記載
  • 消費税課税事業者の場合の処理
  • 事業以外の給付金・助成金との区別
個人事業主は圧縮記帳を一律に使えない、とは断定できません

法人税法上の圧縮記帳と、所得税法上の国庫補助金等の総収入金額不算入は制度の仕組みが異なります。補助金・取得資産・交付元・申告方法を税理士へ確認してください。

補助金をいつ売上・収益として計上する?

補助金の申請日、採択日、交付決定日、補助事業完了日、額の確定日、入金日が異なるため、どの年度・年分へ計上するかが問題になります。

01
申請・採択

採択だけで受給額が最終確定しているとは限りません。

02
交付決定

補助対象事業・経費・上限額が示されますが、実績報告で減額される場合があります。

03
事業実施・支払い

設備取得・広告・外注等の会計処理を行います。

04
実績報告・額の確定

実績確認後に最終的な補助金額が確定します。

05
請求・入金

指定口座へ振り込まれます。会計上の計上時期と入金日が一致するとは限りません。

計上時期は、補助金の交付要綱、受給の権利が確定した時点、会計基準、法人・個人の別などから判断します。決算日・年末をまたぐ場合は、入金を待たずに税理士へ確認してください。

補助金入金時の仕訳はどうする?

一般的な説明では、補助金の入金を「雑収入」等で処理する例があります。ただし、勘定科目や計上時期は会計方針・補助金の内容によって異なります。

単純な入金時の仕訳例

借方:普通預金 2,000,000円

貸方:補助金収入・雑収入等 2,000,000円

300万円の機械を購入した場合の基本例

借方:機械装置 3,000,000円

貸方:普通預金・未払金等 3,000,000円

税抜経理・税込経理、消費税、付随費用、圧縮記帳等は別途調整します。

仕訳例をそのまま転記しない

補助金の収益計上が入金日より前になる場合、未収入金等を使う処理が必要になることがあります。固定資産の取得、圧縮記帳、消費税、決算をまたぐ場合は、税理士へ確認してください。

補助金に消費税はかかる?

国・地方公共団体等から受け取る補助金や助成金は、一般に、資産の譲渡・貸付け・役務提供の対価ではありません。そのため、補助金の受取り自体は、通常の売上のような消費税の課税取引とは区別されます。

補助金収入

受取り自体

一般に対価性がないため、消費税の課税対象となる売上とは区別します。

設備・サービス

支払時の消費税

購入先から課される消費税は、通常の取引として処理します。

補助金申請

税抜・税込申請

制度、免税・課税事業者の区分、申請ルールを確認します。

補助金の対象経費を税抜額で申請する制度や、消費税相当額を対象外とする制度があります。見積書では税抜額、消費税額、税込合計を分けておきます。

消費税仕入控除税額の報告・返還とは

補助金の対象経費に消費税相当額が含まれている場合、消費税の確定申告によって仕入税額控除を受けた部分について、補助金事務局への報告や返還が必要になる制度があります。

補助金側で確認する項目
  • 申請額は税抜・税込のどちらか
  • 消費税等仕入控除税額を除外して申請するか
  • 課税事業者・免税事業者・簡易課税の区分
  • インボイス登録の状況
  • 実績報告時に消費税をどう扱うか
  • 仕入控除税額確定後の報告期限
  • 返還額の計算方法・振込方法
補助金の「消費税返還」と税務署への消費税納付は別です

補助金事務局へ報告・返還する手続きと、消費税申告・納付は別の手続きです。交付要綱・実績報告の手引きと、税理士の指示をそれぞれ確認してください。

圧縮記帳とは?

圧縮記帳とは、国庫補助金等を使って固定資産を取得・改良した場合に、一定の要件のもとで、補助金に対応する金額を固定資産の帳簿価額から圧縮する税務上の取扱いです。

考え方の単純例

固定資産の取得価額:300万円

固定資産取得に充てた補助金:200万円

圧縮後の帳簿価額のイメージ:100万円

実際の圧縮限度額・処理方法・申告調整は税理士へ確認してください。

圧縮記帳の確認項目
  • 国庫補助金等に該当するか
  • 固定資産の取得・改良に充てる補助金か
  • 補助金の返還を要しないことが確定しているか
  • 対象資産・取得時期・供用時期
  • 補助金を受け取る事業年度
  • 圧縮限度額
  • 直接減額方式・積立金方式等の選択
  • 申告書・明細書の作成
  • 税額控除・特別償却との関係
補助金を受け取れば必ず圧縮記帳できるわけではありません

広告費、人件費、通常の外注費など、固定資産の取得・改良ではない支出に充てる補助金は、固定資産の圧縮記帳とは別に考えます。民間団体からの助成金や、固定資産と経費が混在する場合も個別確認が必要です。

個人事業主の総収入金額不算入とは

個人事業主が、固定資産の取得・改良に充てるために国や地方公共団体から補助金を受けた場合、一定の要件のもとで、その補助金の全部または一部を総収入金額へ算入しない取扱いを検討することがあります。

その場合、取得した固定資産の取得価額や減価償却費にも影響するため、補助金収入だけを除外して終わる処理ではありません。

個人事業主が税理士へ伝えたい情報
  • 補助金の名称・交付元・交付要綱
  • 交付決定通知・額の確定通知
  • 補助金の使途
  • 取得した固定資産の種類・取得日・使用開始日
  • 見積書・請求書・支払記録
  • 補助金の入金日・金額
  • 申告する年分
  • 必要な明細書・添付書類

設備費・広告費・人件費で税務処理はどう違う?

補助対象経費 会計・税務上の主な確認 圧縮記帳等との関係
機械・設備 固定資産区分、取得価額、耐用年数、減価償却、付随費用 国庫補助金等の要件を満たす場合に検討
システム・ソフトウェア ソフトウェア資産、クラウド利用料、開発費、保守費の区分 固定資産に該当する部分について個別確認
店舗改装・工事 建物附属設備、構築物、修繕費、資本的支出の区分 固定資産の取得・改良に当たる部分を確認
広告・チラシ 広告宣伝費、支出時期、前払費用等 一般に固定資産取得の圧縮記帳とは別
外注費・専門家費 業務内容、成果物、源泉徴収、固定資産取得への付随費用 内容によって取得価額に含めるか確認
人件費 給与、賞与、法定福利費、支給時期等 固定資産取得の圧縮記帳とは通常別の論点

補助対象経費として認められるかどうかと、会計・税務上どの勘定科目・資産区分で処理するかは別の判断です。対象経費は、補助金の対象経費とは?で整理しています。

補助金を受け取ると税負担はいくら増える?

補助金額だけを基に、実効税率を掛けて税負担を断定することはできません。

税負担へ影響する主な要素
  • 補助金収入の計上時期
  • 同じ年度・年分に計上する費用
  • 固定資産の減価償却費
  • 圧縮記帳・総収入金額不算入の適用
  • 法人・個人の所得区分
  • 繰越欠損金・青色申告の状況
  • 法人税・所得税・地方税の税率
  • 他の所得・利益の状況
「補助金200万円なら税金60万円」という計算は目安にもなりにくい

補助金に対応する費用、減価償却、欠損金、特例などを反映せず、補助金額へ一律の税率を掛けると実際の税額と大きく異なる場合があります。決算・確定申告前に試算してください。

赤字なら補助金に税金はかからない?

補助金を計上しても、費用や繰越欠損金等を反映した課税所得が生じなければ、法人税・所得税が発生しない場合があります。

ただし、次の点は別途確認が必要です。

赤字でも確認したい項目
  • 補助金計上により赤字幅が縮小・黒字転換しないか
  • 繰越欠損金を利用できるか
  • 法人住民税の均等割
  • 地方税・事業税への影響
  • 個人事業主の他の所得との損益通算
  • 消費税課税事業者としての申告
  • 青色申告・欠損金繰越の要件

補助金の税務処理に備えて保存する書類

制度資料 公募要領、交付要綱、補助対象経費、税抜・税込の取扱い
補助金通知 採択通知、交付決定通知、変更承認通知、額の確定通知
申請・報告資料 申請書、経費明細、実績報告書、精算払請求書
取引資料 見積書、契約書、発注書、納品書、請求書、振込記録
固定資産資料 仕様書、設置写真、使用開始日、固定資産台帳、減価償却資料
消費税資料 インボイス、仕入控除税額報告、返還通知・振込記録
税務申告資料 法人税・所得税・消費税申告書、明細書、税理士との確認記録

補助金について税理士へ相談する時期

01
申請前・設備選定時

設備の固定資産区分、消費税、資金計画、特例の可能性を確認します。

02
交付決定・契約前

税抜・税込、取得価額、付随費用、契約・納品時期を整理します。

03
設備取得・事業完了時

固定資産台帳、減価償却開始、経費区分を確認します。

04
額の確定・入金時

補助金の計上時期、未収計上、仕訳を確認します。

05
決算・確定申告前

圧縮記帳・不算入特例、消費税、申告添付書類を確認します。

補助金申請と税務処理を分けて準備したい方へ

当事務所では、補助金の制度確認、対象経費、見積書、申請書、実績報告をサポートします。仕訳、税額計算、圧縮記帳、確定申告は税理士へご確認ください。

補助金の税務・会計チェックリスト

申請から確定申告まで確認
  • 補助金の交付元・制度名・交付目的を確認した
  • 法人・個人事業主のどちらで受給するか明確である
  • 対象経費の税抜・税込の取扱いを確認した
  • 補助金収入の計上時期を税理士へ確認した
  • 購入した設備・サービスの会計区分を確認した
  • 固定資産の取得日・使用開始日を記録した
  • 圧縮記帳・総収入金額不算入の適用可否を確認した
  • 必要な申告書・明細書を確認した
  • 消費税仕入控除税額の報告・返還を確認した
  • 補助金の減額・返還が生じた場合の処理を確認した
  • 採択通知から額の確定通知まで保存した
  • 見積書・契約書・請求書・振込記録を保存した
  • 固定資産台帳・減価償却資料を整備した
  • 決算・年末より前に税理士へ資料を渡した

補助金の課税・仕訳で確認しておきたい点

補助金は税金がかかるのか

事業に関する補助金は、法人税・所得税の計算に影響することがあります。補助金に対応する費用や特例を含めて課税所得を計算します。

補助金に消費税がかかるのか

補助金の受取り自体は、一般に対価性のある売上とは区別されます。一方、設備・サービスの購入時に支払う消費税や仕入控除税額は別に確認します。

補助金入金時の仕訳

普通預金と補助金収入・雑収入等で処理する例がありますが、収益計上時期が入金日より前の場合や、圧縮記帳等を行う場合は別の処理が必要です。

個人事業主も圧縮記帳できるか

法人税法上の圧縮記帳とは別に、所得税法上、一定の国庫補助金等を総収入金額へ算入しない取扱いがあります。一律に可否を判断せず税理士へ確認します。

補助金を受け取った年と設備を購入した年が違う場合

補助金の計上時期、固定資産取得、減価償却、特例適用が複数年度にまたがるため、早めに税理士へ確認してください。

補助金が減額・返還になった場合

過年度に収益計上・圧縮記帳等を行っている場合、減額・返還に伴う会計・税務処理が必要になります。返還通知と支払資料を税理士へ共有します。

行政書士へ税金の計算を依頼できるか

行政書士は補助金申請書類や実績報告の支援を行います。仕訳、税額計算、圧縮記帳、税務申告は税理士へご相談ください。

まとめ|補助金申請と税務処理を別々に確認する

補助金は返済不要でも、法人税・所得税の計算に影響する場合があります。一方、補助金の受取り自体の消費税と、設備等の購入時に支払う消費税は別に考えます。

  1. 法人税・所得税と消費税を分けて確認する
  2. 法人・個人事業主の取扱いを区別する
  3. 採択・交付決定・額の確定・入金の時期を記録する
  4. 設備取得と通常経費を分ける
  5. 圧縮記帳等は適用要件を確認する
  6. 消費税仕入控除税額の報告・返還を確認する
  7. 補助金額へ一律の税率を掛けて税負担を判断しない
  8. 決算・確定申告前に税理士へ資料を共有する

補助金申請時から、交付要綱、通知書、見積書、請求書、支払記録を保存し、税理士が確認できる状態にしておくことが重要です。

補助金申請・実績報告の準備にお困りの方へ

行政書士だいとう事務所では、制度選定、対象経費、見積書、事業計画書、採択後の実績報告まで、ご希望の範囲に応じてサポートしています。税務・会計処理は税理士と連携してご確認ください。

営業時間:平日 9:00〜18:00
メール・LINEは24時間受付。営業時間外は確認後、順次ご返信いたします。

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