財務の基本:損益計算書の見方
中小企業の経営者や担当者にとって、損益計算書(PL)は会社の経営状態を把握するための重要な書類です。
この記事では、経営者が損益計算書を正しく理解し、経営判断に活かすためのポイントをわかりやすく解説します。
損益計算書とは?
損益計算書は、会社が一定期間にどれだけの売上を上げ、どれだけの費用を支払い、最終的に利益を残したかを示す書類です。
基本的には1年間の実績をまとめますが、期中で決算期を変更した場合は、数か月間の実績となることもあります。
損益計算書を見ることで、次のことが分かります。
- 売上高はいくらか
- どれだけの原価や経費がかかったか
- 税金を支払った後の最終利益はいくらか
- 経営上の課題がどこにあるか
損益計算書の主な項目と注目ポイント
損益計算書の項目は大きく13に分かれます。
特に中小企業の経営者が注目すべきは、売上高、営業利益、税引後当期純利益です。
- 売上高
会社が本業で得た収入を計上します。
例:飲食業なら料理代金、製造業なら製品販売代金
※補助金や受取利息は営業外収入として計上 - 売上原価
売上を作るために直接かかった費用です。
例:飲食業は食材費、製造業は原材料費や製造人件費
※期末に残った未使用材料は貸借対照表に計上 - 売上総利益(粗利益)
売上高から売上原価を差し引いた利益です。
粗利益が赤字の場合は、価格設定や仕入れ管理の見直しが必要です。 - 販売費及び一般管理費(販管費)
日常の経費や人件費、地代家賃、減価償却費などがあります。- 固定費:売上に関係なく必ず発生(例:家賃、人件費)
- 変動費:売上に応じて増減(例:広告費、販売費)
- 営業利益
売上総利益から販管費を差し引いた利益です。- 営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高
- 営業赤字の場合は、早急に収支改善策が必要です。
- 営業外収入
本業以外で得た収入(受取利息、事業外の家賃収入など)です。 - 営業外費用
本業以外で支払った費用(支払利息など)です。 - 経常利益
営業利益+営業外収入−営業外費用
会社の本業+本業外収支の全体像を示します。 - 特別利益
一過性の利益(補助金、固定資産売却益など)です。
※事業計画に反映する場合は慎重に! - 特別損失
一過性の損失(固定資産売却損など)です。
※事業計画に無理に反映せず、実態に沿った計上をしましょう。 - 税引前当期純利益
経常利益+特別利益−特別損失 - 法人税等
所得に応じて課税されます。繰越欠損金がある場合は減額されることも - 税引後当期純利益(最終利益)
税引前当期純利益−法人税等- 黒字なら自己資本が増加します。
- 赤字が続く場合は債務超過のリスクもあります。
中小企業経営者が押さえるべきポイント
- 営業利益の重要性
本業で稼ぐ力を示す指標であり、赤字が続く場合は経営改善が急務です。 - キャッシュフローとの関係
損益計算書上の利益が黒字でも、現金が不足する場合があります。
→ 契約・入金サイクルの管理や、キャッシュフロー計算書の確認が重要。 - 事業計画に活かす
過去の特別利益・特別損失を安易に反映せず、実態に沿った計画を策定しましょう。
金融機関からの融資申込にも信頼性が向上します。
まとめ
損益計算書は、中小企業の経営状況を把握し、経営判断をサポートする必須ツールです。
弊事務所では、経営者の立場に立って、損益計算書の見方や活用法、事業計画への落とし込み方までサポートします。
中小企業経営者の方は、まず売上高・営業利益・税引後当期純利益に注目し、会社の経営力を客観的に把握することから始めましょう。
