融資審査のポイント|金融機関がチェックする重要な項目と対策
金融機関から融資を受ける際、「どんな書類が必要か分からない」「銀行は何をチェックしているのか分からない」と悩む事業者の方は少なくありません。
本記事では、金融機関で融資業務を経験した行政書士が、法人を対象にした融資審査のチェックポイントを解説します。
※個人事業主でも基本的な審査の考え方はほぼ同じです。
融資審査で金融機関が重視する4つのポイント
融資審査では多くの項目をチェックしますが、特に重要な4つのポイントは以下の通りです。
- 履歴事項全部証明書
- 法人の財務内容
- 税金滞納の有無
- 融資案件内容・事業計画の妥当性と担保
また、金融機関は「良い借金かどうか」という観点でも審査を行います。詳細は「良い借金と悪い借金とは?」もご参照ください。
① 履歴事項全部証明書の確認
法人の場合、履歴事項全部証明書には以下が記載されています。
- 商号や事業目的
- 役員の情報
- 設立年月日
チェックポイント
- 商号や役員が頻繁に変更されていないか
- 事業目的の内容が一貫しているか
- 関連会社や役員に反社会的勢力が関与していないか
頻繁な変更や一貫性のない事業目的は、金融機関から質問されることがあります。
反社会的勢力との関係があれば、財務内容が良好でも融資審査は通りません。
② 法人の財務内容
金融機関は、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などを確認します。
主なチェック項目
- 売上・利益の推移(増加傾向か横ばいか減少傾向か)
- キャッシュフローの状況
- 一過性の収入・支出の有無
- 在庫管理の適正さ
- 売掛金や貸付金の回収可能性
- 代表者や関連会社との貸借状況
赤字決算や債務超過はマイナス要素になりますが、原因が一過性の費用(固定資産売却損や貸倒損失など)であれば、審査への影響は限定的です。
業務怠慢による赤字と見なされる場合は、厳しい評価となります。
③ 税金滞納の有無
金融機関は、決算書の別表や納税証明書をもとに、法人税・住民税・固定資産税などの滞納がないか確認します。
- 税金滞納は融資返済への不安材料になる
- 理由を聞かれることがある(期日忘れか資金不足か)
滞納がある場合は事前に納税を済ませ、証明書を揃えておくことが望ましいです。
④ 融資案件内容・事業計画の妥当性と担保
金融機関は、融資案件が返済可能であるかを重視します。
チェックポイント
- 事業計画の売上・利益の妥当性
- 過去の決算書との整合性
- 地域性や事業内容の適合性(信用金庫や信用組合の場合)
- 担保の有無と処分性
担保について
- 担保は貸倒リスク軽減のために必要
- 処分性のない担保は不可(例:使用不能の古い機械、山奥の山林など)
金融機関は、案件内容・事業計画・担保の三点を総合的に判断して融資可否を決定します。
融資審査のポイントまとめ
- 金融機関は、事業者・案件・地域性など多角的に審査
- 銀行ごとに特色があり、A銀行で否決でもB銀行で通ることがある
- 事業計画は現実的で妥当性のある内容にすることが重要
融資審査を通過するには、事前準備と正確な情報の提供が不可欠です。
弊事務所では、融資相談や事業計画書作成のサポートも行っていますので、安心してご相談ください。
