補助金は交付決定前に契約・発注すると対象外?4つのNGと確認方法

まず知っておきたいこと

補助金は、採択された後でも、交付決定前に契約・発注すると対象外になることがあります。

契約書への署名だけでなく、発注メール、注文書、前金、クレジットカード決済、業者による作業開始などから、交付決定前の契約・着手と判断される場合があります。見積取得と発注を明確に分け、交付決定通知と補助対象期間を確認してから進めることが重要です。

ADOPTION 採択だけでは発注しない

採択通知と交付決定通知は別です。発注可能日を制度資料で確認します。

CONTRACT 契約書以外も確認対象

メール、注文書、前金、作業開始などから契約・発注と判断される場合があります。

ACTION 契約済みなら日付を整理

契約日、発注日、支払日、着手日、交付決定日を確認して事務局へ相談します。

補助金は交付決定前に契約・発注すると対象外になることがある

多くの補助金では、交付決定後に契約・発注し、補助対象期間内に納品・支払いを行った経費が補助対象になります。

制度ごとの例外はありますが、交付決定前に契約、発注、購入、支払い、事業着手を行った経費は、補助対象外と判断される可能性があります。

契約前に確認する3つの日付
  • 交付決定日:交付決定通知書に記載された日付
  • 補助対象期間:契約・納品・支払いなどを行える期間
  • 実際の発注日:契約書だけでなく、メールや注文書などから確認される日付

「採択されたから大丈夫」「まだ代金を支払っていないから問題ない」とは限りません。契約の成立や発注の意思表示が交付決定前であれば、その時点が問題になることがあります。

制度ごとの公募要領・交付規程が優先されます

一部の制度には事前着手、特例、対象期間の特別ルールがあります。一般論だけで判断せず、利用する補助金の公募要領、交付規程、補助事業の手引き、事務局案内を確認してください。

補助金に採択された後、いつから契約・発注できる?

多くの制度では、採択通知を受け取った後に交付申請を行い、交付決定通知を受けてから契約・発注します。

01
採択通知

審査で事業計画が選ばれた段階です。直ちに発注できるとは限りません。

02
交付申請

実施する事業、対象経費、見積書、補助金額などを確認します。

03
交付決定通知

補助対象として認められた内容、期間、条件を確認します。

04
契約・発注

交付決定通知と補助対象期間を確認した後、承認された内容で進めます。

交付決定日の翌日からとは限りません

制度によって、交付決定日当日、交付決定後、別途指定された補助対象期間の開始日など、契約可能日の考え方が異なります。通知書に記載された日付と手引きを確認してください。

採択後から入金までの全体像は、補助金採択後にやること|交付申請から入金までの流れで整理しています。

採択と交付決定は何が違う?

審査結果

採択

事業計画が審査で選ばれた状態です。補助金額や対象経費が最終確定した状態ではありません。

正式な決定

交付決定

交付申請後、補助対象事業・経費・補助金額などが正式に認められた状態です。

実施可能な期間

補助対象期間

契約、発注、納品、支払いなどを行うことができる期間です。期間外の経費は対象外になる場合があります。

採択後の交付申請で、見積書や対象経費が精査され、申請時の金額から減額されることもあります。採択額がそのまま交付決定額になるとは限りません。

交付決定前にやってはいけない4つのNG

契約書を締結しなくても、実際のやり取りから発注・契約・着手と判断される場合があります。

NG1:契約書・申込書へ署名・押印する

交付決定前に正式な契約書へ署名・押印すると、補助対象期間外の契約と判断される可能性があります。

契約書という名称でなくても、工事申込書、制作申込書、サービス利用申請書、注文請書などにより契約が成立する場合があります。

注意したい書類
  • 売買契約書・請負契約書
  • 工事申込書・制作申込書
  • 注文書・注文請書
  • 利用契約書・ライセンス契約書
  • リース・割賦契約書
  • 発注確認書・購入申込書

NG2:発注書・注文書・メールで正式依頼する

契約書を作成していなくても、発注書や注文書を出したり、メール・チャットで正式に依頼したりすると、発注済みと判断される可能性があります。

「この内容でお願いします」は見積依頼と異なります

見積内容を確認するだけのやり取りと、業者へ作業開始を求める発注の意思表示は分ける必要があります。交付決定前は「見積取得の段階であり、正式発注ではない」と明確に伝えます。

NG3:前金・手付金・予約金を支払う

業者から「納期を確保するため」「材料を押さえるため」と説明されても、交付決定前の前金・手付金・予約金は注意が必要です。

少額の支払いであっても、契約成立や事業着手の事実を示す資料になる可能性があります。

  • 設備の予約金
  • 工事の手付金
  • ホームページ制作の着手金
  • システム開発の初期費用
  • 広告出稿の預り金
  • クラウドサービスの初回利用料

NG4:クレジットカード・オンライン決済で購入する

クレジットカードの場合、口座からの引落日ではなく、カード利用日、購入日、契約開始日などが補助対象期間との関係で問題になることがあります。

カード決済になりやすい経費
  • ECサイトで購入するパソコン・設備・備品
  • クラウドサービス・ソフトウェア
  • オンライン広告・SNS広告
  • ドメイン・サーバー・ホームページ関連サービス
  • 予約システム・業務管理システム

カード名義、利用日、引落日、支払完了日などの要件も制度によって異なります。決済前に手引きを確認してください。

交付決定前に見積書を取るだけなら問題ない?

補助金申請や交付申請では、見積書が必要になることがあります。そのため、交付決定前に見積書を取得すること自体は、通常の申請準備として行われます。

ただし、見積りのやり取りから正式発注へ進んでいないかを確認する必要があります。

見積取得

価格・仕様を確認する段階

正式契約ではなく、申請・比較検討のために金額と条件を確認します。

発注

業者へ実施を依頼する段階

注文書、メール、口頭合意などで、設備手配や作業開始を求めます。

着手

実際の作業が始まった段階

設計、制作、材料手配、工事、広告配信、サービス利用などが開始しています。

見積依頼時に伝えたいこと
  • 補助金申請に使用する見積書である
  • 現在は比較・申請準備の段階である
  • 正式発注は交付決定後に改めて行う
  • 交付決定前に作業・材料手配を始めない
  • 前金・予約金を請求しない
  • 見積書に型番・仕様・数量・単価を記載する

見積書の作り方は、補助金申請の見積書|NG例・OK例と相見積りの注意点で詳しく説明しています。

交付決定前に契約・発注しやすい支出の例

設備・機械 納期を確保するため、採択直後に注文書を出したり予約金を支払ったりしやすい経費です。
店舗改装・工事 工期調整のため、交付決定前に契約・材料手配・着工が進みやすい経費です。
ホームページ制作 見積後のメールで制作開始を依頼し、交付決定前に構成・デザイン制作が始まりやすい経費です。
システム開発 要件定義、設計、アカウント開設などが契約・着手に当たる可能性があります。
ITツール・クラウド 無料期間後の自動課金、年額契約、ライセンス開始日などに注意します。
広告宣伝 広告アカウントへの入金、配信予約、制作開始、掲載申込みなどが問題になります。
展示会出展 出展申込みの時期について特例が設けられる制度もあるため、個別確認が必要です。

支出内容だけでなく、契約日、発注日、着手日、利用開始日、決済日、納品日、支払日を確認する必要があります。

事前着手承認があれば交付決定前でも契約できる?

一部の補助金では、事前着手や遡及適用に関する特別な制度が設けられる場合があります。

ただし、「事前着手制度があるらしい」という情報だけで契約してはいけません。対象者、対象期間、申請・承認時期、対象経費に制限がある場合があります。

事前着手を検討する際の確認事項
  • 利用する補助金に事前着手制度があるか
  • 事前申請・届出・承認が必要か
  • 承認通知を受ける前に契約できるか
  • 対象となる契約日・発注日の範囲
  • 対象外となる経費区分がないか
  • 承認を受けても採択・交付決定が保証されないこと
  • 不採択の場合は全額自己負担になること
他制度の事前着手ルールを流用しない

過去に別の補助金で交付決定前の着手が認められたとしても、今回利用する制度で認められるとは限りません。年度・公募回・経費区分まで確認してください。

交付決定前にすでに契約・発注してしまった場合

すでに契約・発注・支払いをしてしまった場合は、契約書の日付だけで判断せず、取引の経過を時系列で整理します。

見積日 見積書の発行日と見積依頼の内容を確認します。
意思表示の日 「お願いします」と伝えたメール、チャット、口頭合意の日時を確認します。
契約・発注日 契約書、申込書、注文書、発注書などの日付を確認します。
支払日 前金、手付金、カード決済、振込などの日時を確認します。
業者の着手日 設計、制作、材料手配、工事、広告配信などの開始日を確認します。
交付決定日 交付決定通知書と補助対象期間を確認します。

まだ支払っていない場合

未払いでも、契約・発注が成立していれば対象外になる可能性があります。「支払っていないから安全」とは限りません。

契約解除が可能か、解除した後に交付決定後あらためて契約できるか、事務局がどのように判断するかを確認します。

一部を支払っている場合

前金・手付金などを支払っている場合、その支出だけでなく、契約全体が交付決定前に成立していたと判断される可能性があります。

返金を受ければ必ず補助対象へ戻るとは限りません。取引の事実を隠さず、事務局へ確認してください。

すでに着手・納品されている場合

工事・制作が開始している、設備が納品されている、広告配信が始まっている場合は、交付決定前の着手として対象外になるリスクが高まります。

契約書の日付を後から変更しない

実際には交付決定前に合意・発注しているにもかかわらず、契約書や注文書を交付決定後の日付で作り直してはいけません。事実関係を整理し、必要に応じて事務局へ相談してください。

採択後の発注時期や、契約済み経費に不安がある方へ

採択通知、交付決定通知、見積書、契約書、メール、支払記録などを確認し、現在の状況と事務局へ確認すべき事項を整理します。

交付決定前に契約すると全部の経費が対象外になる?

交付決定前に契約した場合、必ず申請全体が不支給になるとは限りません。

一般的には、交付決定前に契約・発注した経費が対象外となり、その結果として補助金が減額されることがあります。ただし、その経費が事業の中心である場合や、制度上の重要な要件違反に当たる場合は、事業全体への影響が大きくなる可能性があります。

一部経費

該当経費が対象外

複数経費のうち、一部だけを交付決定前に発注した場合、その経費が除外される可能性があります。

主要経費

事業成立へ影響

主要設備などが対象外となり、事業計画や交付要件を満たせなくなる可能性があります。

重大な違反

不支給・取消しの可能性

虚偽説明や事実と異なる書類提出などがあれば、より重大な問題になる可能性があります。

どこまで対象外になるかは、制度、契約内容、経費の位置づけ、事業計画への影響によって異なります。

補助金が減額される他の原因は、補助金が減額される6つの原因で整理しています。

交付決定前の契約・発注を防ぐチェックリスト

業者へ正式依頼する前に確認
  • 採択通知ではなく交付決定通知を受け取っている
  • 交付決定日と補助対象期間を確認した
  • 発注可能日について制度資料を確認した
  • 交付申請で認められた設備・仕様・数量と一致している
  • 見積書の宛名・金額・内訳に問題がない
  • 業者へ正式発注のメールをまだ送っていない
  • 契約書・注文書・申込書へ署名していない
  • 前金・手付金・予約金を支払っていない
  • クレジットカード・オンライン決済をしていない
  • 業者が設計・制作・工事・材料手配を始めていない
  • 設備・業者・価格の変更について承認が必要か確認した
  • 納品・支払いが補助対象期間内に完了する
  • 契約日・発注日が分かる資料を保存できる

交付決定前の契約・発注で確認しておきたい点

見積取得、口頭依頼、仮契約、前金、カード決済など、判断に迷いやすい事項を補足します。

採択通知後に発注できるか

採択通知だけでは発注できない制度が多くあります。交付申請後に交付決定を受け、発注可能日と補助対象期間を確認してから進めます。

交付決定前に見積書を取得する場合

見積書の取得自体は、申請・交付申請に必要な準備として行われます。ただし、業者へ正式発注せず、作業・材料手配・前金支払いを始めないようにします。

口頭で「お願いします」と伝えた場合

契約は書面だけで成立するとは限りません。口頭合意後に業者が作業や手配を始めている場合は、契約・発注の成立が問題になる可能性があります。

補助金が出なければ解除する仮契約

補助金の交付を条件とする契約でも、交付決定前に契約が成立していると判断される可能性があります。条件付き契約なら安全とは限らないため、締結前に事務局へ確認してください。

前金を返金してもらった場合

返金されたから必ず補助対象になるとは限りません。交付決定前に契約・発注・着手した事実が残るため、返金経緯と取引資料を整理して事務局へ確認します。

クレジットカードの引落日が交付決定後の場合

引落日だけでなく、カード利用日、購入日、契約日、サービス開始日が確認される場合があります。交付決定前に決済している場合は対象外となる可能性があります。

交付決定前契約が一部経費だけの場合

該当する経費だけが対象外となる場合もありますが、主要経費であれば事業全体へ影響する可能性があります。制度と事業計画を踏まえて個別に確認します。

まとめ|採択後も交付決定までは正式発注を待つ

補助金は、採択された後でも、交付決定前に契約・発注・着手すると対象外になることがあります。

契約書の有無だけでなく、発注書、メール、前金、カード決済、業者の作業開始など、実際の取引経過が確認されます。

契約前には次の点を確認してください。

  1. 採択通知と交付決定通知を区別する
  2. 交付決定日と補助対象期間を確認する
  3. 見積取得と正式発注を分ける
  4. 注文書・メール・口頭で発注意思を伝えない
  5. 前金・予約金・カード決済を行わない
  6. 業者に作業・材料手配を始めさせない
  7. 事前着手制度の有無と承認条件を個別に確認する
  8. 契約済みの場合は事実関係を時系列で整理する

納期が長い設備や工事であっても、自己判断で先行発注せず、利用する補助金の事務局へ確認してから進めることが重要です。

交付決定前の契約・発注時期を確認したい方へ

行政書士だいとう事務所では、採択通知、交付決定通知、見積書、契約書、発注メール、支払記録などを確認し、補助金申請・採択後の手続きをご希望の範囲に応じてサポートしています。

営業時間:平日9:00〜18:00/メール・LINEは営業時間外でも受け付けています。

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