金融機関の本音|融資審査で銀行が重視するポイントと事業者の対応
事業資金の調達でまず思い浮かぶのが、金融機関からの融資です。しかし、融資を受ける際の最大のハードルは、やはり銀行の審査です。
銀行ごとに審査基準は異なり、景気や政策金利の影響を受けることもあります。2024年からは、低金利時代が徐々に終了し、借入金利は上昇傾向にあります。これは政策による影響で、銀行や事業者の意思だけでどうにかできるものではありません。
では、金融機関はどのような考えで融資審査を行い、事業者には何を期待しているのでしょうか。
銀行の融資の仕組みと本音
銀行は、主に預金者から集めた資金を融資という形で運用しています。預金者への利息支払い、銀行員の給与、その他諸経費の支払いを賄うため、銀行は貸し出したお金を利息とともに確実に回収する必要があります。
そのため、銀行は以下のような融資姿勢を持っています。
- 返済可能性の高い案件に融資する
- 審査は銀行の存続に直結する重要業務
- 必要のないお金は貸さない
簡単に言えば、銀行は「自分たちが倒産しない範囲で、かつ事業者にとって有益な融資だけを行う」というスタンスです。
銀行が事業者に期待すること
銀行の本音としては、良質な債権(返済可能性の高い融資残高)を増やしたいというものがあります。
事業者が確実に返済してくれるなら、銀行と事業者の関係はウィンウィンです。しかし、実際には資金を借りられない事業者や、融資条件が合わないケースも少なくありません。
銀行が融資を慎重に行う理由
銀行が融資を積極的に行わない理由は「リスクを最優先に考える」ためです。
- 何も考えずに融資すると銀行経営が悪化する
- 預金者の信頼が失われると破綻のリスクがある
- 事業者に必要のない融資を行えば、余計な利息負担を与えてしまう
このため、銀行は返済可能性が高く、必要性のある案件だけを融資対象としています。
銀行担当者の事情
銀行の営業担当者も、実は大変な立場にあります。
- 融資残高や預金・投資信託などのノルマを上司から課される
- ノルマを達成できなければ叱責される
- 無理に融資を行い、事業者が返済不能になれば、それも叱責対象
つまり、銀行担当者はノルマとリスク管理の板挟みにあるのです。事業者が融資を受けるためには、この現実を理解したうえで対応することが重要です。
事業者が取るべき対応
銀行が期待する「返済可能性の高い事業者」であることを示すためには、以下の準備が必要です。
- 現実的で説得力のある事業計画書の作成
- 過去の財務状況を整理し、融資可能性を示す
- 必要に応じて担保や保証人を準備
- 税金や社会保険料を滞納せず、財務状況をクリアに保つ
詳細な融資審査のポイントは、「融資審査のポイント」もご参照ください。
まとめ
- 銀行は、返済可能性の高い案件だけに融資を行います
- 銀行担当者はノルマとリスク管理の板挟みです
- 事業者は現実的で妥当な事業計画書と財務状況の整理が必須です
- 銀行の本音を理解することで、融資審査の通過率は高まります
金融機関の審査を理解し、適切な準備を行うことが、融資成功への第一歩です。
弊事務所では、事業計画書作成や融資相談のサポートも行っていますので、ぜひご相談ください。
