家族経営が融資で不利になる理由

家族経営は日本の中小企業ではごく一般的ですが、融資審査の現場では「注意が必要な経営体制」として扱われることがあります。
「家族でやっているだけなのに、なぜ不利?」と感じる方は多いのですが、銀行には銀行の“見え方”があります。

本記事では、家族経営がなぜ融資で不利になるのか、実務での審査ポイント、改善策を丁寧に解説します。

家族経営が不利になる「3つの根拠」

1. 人件費が不透明になりやすい

家族経営の融資相談で最も多いのが
「人件費が実態とかけ離れている」
という問題です。

銀行が疑問を持つケースは次のとおりです。

  • 社会保険に加入していない
  • 給与が安すぎる(または高すぎる)
  • 家族の手伝い=無償労働になっている
  • 帳簿上の給与と実態が違う

銀行は「人件費は再現性のある固定費かどうか」を見ています。
家族労働が多いと、事業の本当の利益が見えず、計画の信頼性が下がります。

2. 代表者の意思に家族が強く影響する

家族経営では、経営判断に家族の意見が深く入り込みます。

銀行が懸念する具体例は次のとおりです。

  • 家族の反対で投資が急に止まる
  • 代表者が家族からの生活費要求を優先してしまう
  • 家族間トラブルで事業が不安定化
  • 後継者が曖昧で将来の見通しが立たない

銀行にとって「意思決定が一貫しない企業」は、返済リスクが高いと判断されます。

3. 役職や給与の線引きが曖昧

家族経営で多いパターン:

  • 経理が奥様だが正式な職務規定がない
  • 息子が現場責任者だが給与が親族価格
  • 実際は常勤なのに「家族の手伝い」扱い
  • 出金管理が代表者と家族の“どんぶり勘定”で混在

銀行は「役割明確な組織」を好みます。
とくに経理と現場の分離ができていないと、資金管理の精度に疑義を持たれます。

銀行担当者が家族経営でチェックするポイント

1. 給与の妥当性

・市場相場と比較して不自然でないか
・社会保険加入は適正か
・無償労働が事業計画に影響していないか

2. 代表者と家族の関係性

・経営を妨げる要素がないか
・家族間のトラブルがないか
・後継者の見通しがあるか

3. 帳簿と現場が一致しているか

・家族の生活費が会社経費に紛れ込んでいないか
・プライベートと事業のお金が分離されているか
・出金管理が属人的になっていないか

銀行担当者は家族経営の企業に対し、数字・組織体制・意思決定の3つを確認します。

不利を減らすための改善策

1. 家族の役割を書面に整理する

家族経営ほど「職務の明文化」が大切です。

  • 家族の役割
  • 勤務時間
  • 給与
  • 責任範囲

これだけで銀行の印象は大きく改善します。

2. 給与・社会保険を適正化する

「家族だから社会保険に入れていない」というケースは非常に多いのですが、銀行の評価は下がります。

最低限整えるべきは:

  • 給与を市場相場に近づける
  • 社会保険を適正に加入する
  • 無償労働に依存した計画をやめる

実態に合った人件費にするだけで計画の信頼性が上がります。

3. 生活費と会社のお金を完全に分離する

銀行が最も嫌うのは「私用出金の混在」です。

具体的には:

・生活費は代表者個人の口座から支払う
・会社から代表者への仮払金を作らない
・現金の立替は最小限にする

家族経営ほど“お金の区分”を厳格にすることが信頼につながります。

4. 外部専門家を入れて透明性を高める

税理士や行政書士など第三者が関与することで、銀行の安心感は大きく高まります。

  • 月次試算表の精度向上
  • 資金繰りの改善
  • 代表者の意思決定の整理

家族経営の弱点が薄まり、融資通過率が上がります。

まとめ

家族経営だから融資が通らないわけではありません。
しかし、銀行は家族経営に特有のリスクを理解しており、

・人件費の不透明さ
・意思決定の不安定さ
・お金の混在

これらがあると慎重になります。

逆にいえば、家族の役割明確化・社会保険加入・資金管理の透明化の3つを整えるだけで、大幅に融資に通りやすくなります。

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