お悩み:手元資金はどれくらい必要?資金繰りに強い経営体質を作るには
「黒字なのにお金が足りない」「急な支払いに対応できない」
そんな悩みを持つ中小企業の経営者は少なくありません。
どんなに売上や利益が出ていても、手元資金(現金・預金)が尽きれば会社は倒産してしまいます。
いわゆる「黒字倒産」は、まさに手元資金の管理が不十分なことが原因です。
この記事では、行政書士の視点から
👉 手元資金はどのくらい必要なのか
👉 手元資金が不足した場合の対応方法
👉 奈良・生駒の事業者が押さえるべきポイント
をわかりやすく解説します。
手元資金とは?単なる「現金の残高」ではない
まず、手元資金とは単に現金だけを指すわけではありません。
一般的に次のような資産を含みます:
- 現金(レジ現金など)
- 普通預金・当座預金
- すぐに現金化できる有価証券(定期預金や短期国債など)
ここではわかりやすく「現金+預金」を手元資金と考えましょう。
手元資金は「月商の2〜3か月分」が目安
多くの経営指標では、
👉 月商の2〜3か月分の手元資金
を確保しておくことが望ましいとされています。
たとえば、
年商6,000万円(月商500万円)の会社であれば、
1,000万円〜1,500万円程度の手元資金が理想的です。
ただし、これはあくまで「目安」です。
業種や取引条件によって必要な手元資金は変わります。
例:業種別の目安
| 業種 | 望ましい手元資金 | 理由 |
|---|---|---|
| 建設業 | 月商3〜4か月分 | 受注から入金までの期間が長い |
| 小売・飲食業 | 月商1〜2か月分 | 現金回収が早く、資金回転が速い |
| 製造業 | 月商2〜3か月分 | 在庫や仕入先への支払いが先行する |
| サービス業 | 月商2か月分前後 | 継続契約が多く、資金変動が小さい |
なぜ「2〜3か月分」が必要なのか?
理由はシンプルです。
売上が急減しても、すぐに支払いは止まらないからです。
たとえば売上がゼロになっても、次のような支出は続きます:
- 従業員の給与や社会保険料
- 家賃やリース料などの固定費
- 借入金の返済
- 光熱費や通信費
こうした固定費を2〜3か月支払える余裕があれば、一時的な業績悪化や不測の事態でも、冷静に経営判断を行う時間を確保できます。
手元資金が不足していると起きるリスク
手元資金が不足すると、次のような悪循環に陥ります。
- 支払い遅延が発生し、信用が低下
- 仕入れ先との関係悪化
- 金融機関からの新規融資が難しくなる
- 資金繰り悪化 → 経営判断が遅れる
- 最悪の場合、黒字でも倒産(黒字倒産)
一方で、手元資金に余裕があれば、「一時的な赤字」でも落ち着いて再建策を練ることができます。
手元資金を増やす3つの方法
- 売上回収を早める(売掛金サイト短縮)
取引条件を見直し、入金サイクルを短縮しましょう。 - 支払いを遅らせる(買掛金サイト延長)
仕入先と交渉して、支払条件を改善できれば資金繰りが安定します。 - 固定費の削減・不良資産の処分
使っていない設備や在庫を売却し、現金化しておくのも有効です。
また、余裕があるうちに信用保証協会付き融資や日本政策金融公庫の資金調達を行うのも手です。
資金が枯渇してからでは、融資を受けるハードルが一気に上がります。
手元資金を厚くしておくと金融機関からの印象も良い
金融機関は融資審査の際、「資金繰りの安定性」を非常に重視します。
手元資金が潤沢にある企業は、「資金繰りに強く、返済リスクが低い」と判断されるため、融資条件が有利になることもあります。
また、資金に余裕があれば、設備投資や新事業のチャンスを逃さずに済みます。
まとめ:資金の余裕は、経営の余裕につながる
- 手元資金は「月商の2〜3か月分」が基本
- 固定費や業種によって適正額を見極める
- 余裕があるうちに資金調達・経費見直しを
手元資金の確保は、事業の安定に直結します。
「いざという時に使えるお金があるか」は、経営判断の余裕そのものです。
📞 奈良市・生駒市などで資金繰りや手元資金にお悩みの方へ
行政書士として、
- 資金繰り表の作成
- 日本政策金融公庫・信用保証協会付き融資のサポート
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「今の手元資金で大丈夫?」「どのくらいあれば安心?」
そんな疑問があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
