お悩み:保証人になるとどうなる?経営者保証のリスクと向き合い方

 事業資金の融資を受ける際、「保証人が必要です」と言われた経験はありませんか?
 特に中小企業や個人事業主の融資では、経営者が連帯保証人になることが一般的です。

 しかし、「保証人にはなるな」という言葉もよく耳にします。
 なぜ、そんなに保証人になることが危険だと言われるのでしょうか?
 今回は、連帯保証人の責任・リスク・対策について、行政書士の視点から分かりやすく解説します。


保証人=連帯保証人?その違いを理解しよう

 まず、「保証人」と「連帯保証人」は法律上の立場が異なります。

種類債務者が返済できないときの対応主な特徴
保証人債務者に返済能力がない場合のみ支払義務がある「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」がある
連帯保証人債務者と同等の返済義務を負う抗弁権がないため、債権者は直接請求できる

 つまり、連帯保証人は債務者とほぼ同じ立場です。
 債務者が返済できなくなれば、即座に保証人に請求が来ます。
 「借りたのは自分じゃないのに返済義務がある」というのが、連帯保証の怖さです。


経営者保証はなぜ必要とされるのか?

 金融機関の立場からすると、融資した資金が回収不能になるリスクを防ぐため、経営者自身の責任(連帯保証)を求めるのが一般的です。

 特に中小企業では、経営者と会社の資金が密接に関わっているため、「会社が返せないなら、経営者個人で返してもらう」という考え方が根強くあります。

 近年では「経営者保証に関するガイドライン」(金融庁・中小企業庁)により、一定の条件を満たせば経営者保証を外せる可能性もあります。
 しかし、現実的にはまだ保証を求められるケースが大半です。


保証債務は相続される ― 家族にも影響が及ぶ

 見落とされがちですが、保証債務は相続の対象になります。
 つまり、保証人が亡くなった場合、その債務は配偶者や子どもに引き継がれる可能性があります。

 例えば、保証人である父親が急逝した場合、子どもが相続を承認すれば、父親の保証債務を引き継ぐことになるのです。

 相続放棄を行えば引き継がずに済みますが、期限(原則3ヶ月以内)があるため、専門家への早めの相談が必要です。


保証人になる前に確認すべき3つのポイント

  1. 保証金額の範囲
     保証契約書に「極度額(上限)」が記載されているか必ず確認しましょう。
  2. 保証期間
     期間の定めがない契約はリスクが高く、長期にわたり責任を負うことになります。
  3. 解除条件の有無
     契約更新や借入完済時に自動で保証解除される仕組みがあるか確認を。

経営者保証を減らす・外すための工夫

 金融庁のガイドラインに基づき、次の条件を整えることで、保証人なしの融資(プロパー融資)の可能性が高まります。

  • 会社と経営者個人の資産を明確に分けて管理している
  • 財務内容が健全で、適切な会計処理を行っている
  • 返済能力・事業計画が具体的かつ実現性が高い

 行政書士としても、これらの条件を整えるための経営改善計画書や資金繰り計画書の作成支援を行っています。


まとめ:保証人になることを恐れすぎず、正しく理解を

 保証人になることは確かにリスクを伴います。
 しかし、事業を継続・拡大するためには、融資が必要な場面も多く、その際に経営者保証を完全に避けるのは難しいのが現実です。

 大切なのは、

  • 契約内容をよく理解すること
  • 計画的な資金繰りを行うこと
  • 無理のない範囲で借入を行うこと

 そして、もしもの時に備えて、専門家に相談できる関係を作っておくことです。


奈良市・生駒市で経営者保証・融資相談なら

 当事務所では、

  • 融資・保証契約の内容確認サポート
  • 経営改善計画書・資金繰り計画書の作成
  • 経営者保証ガイドラインに基づく保証解除支援

 を行っております。

 「保証人にならざるを得ないけど不安…」という経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
 法的リスクを最小限に抑えながら、安心して資金調達できるようサポートいたします。

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